2005年05月12日

《「脱石油」使わないで》 天坊昭彦氏 出光興産社長

■本日の経営者■

天坊昭彦氏
出光興産社長



■記事を要約■
「脱石油」ではなく、「石油を大切に」。
「省エネ」も大事だが、「安定供給」も重要。



■今日の考察■

確かに「脱石油」というのは、ひびきが良くない。
「脱○○」といった言葉は、その対照となっているもの(ここでは石油)を排除しようというニュアンスに聞こえなくもない。

確かに石油は限り有る資源だ。では、石油は使ってはいけないものなのか、使うことは良くないことなのか。…もちろんそうではないはず。

石油からは、ガソリン、ナフサ、重油が生まれ、さらに多様な製品へ加工される。僕たちは多大な恩恵を、石油から受けている。
いきなり「石油」を使ってはいけませんと言われても、そんなのは無理。

ただ、石油を大切に扱おうという提案それ自体に、反対する人はいないと思う。
排除すべきは「無駄」であったり、過度の「依存状態」だ。「石油」そのものではない。なので例えば「脱無駄」や「脱依存」と言うほうが的を射ていると思う。

しかし「脱○○」という言い方は、僕としてはやはりしっくり来ない。それは「方向性」が見えにくいから。つまり、わかりにくい。石油から脱した先にある未来がイメージしづらい。

例えば石油から脱するためには、何らかの代替エネルギーが必要になる。
それならば、その代替エネルギーの研究・開発を加速させるように、政府は企業を導けばいい。
安価でクリーンな代替エネルギーの安定供給といったように、新しい未来をイメージさせるようなキーワードを使えばいいのだと思う。
改革好きの小泉さんなのだから、「エネルギー改革」という表現でも用いればいい。
新たなエネルギーが安価で安定供給されるようになれば、結果として石油の「脱無駄」に向かっていくはずだ。

これは経営者や個人レベルに落とし込むこともできる。
「コスト削減」…例えばこんな目標を社員に課したとする。経営者にとり、この「コスト削減」というのはあくまで手段であって、目的ではないはず。目的は「会社の成長」だったりするのかもしれない。
だったら、会社が成長したらどうなるのか、どんな未来があるのか、そこを見せるようにすると社員一人一人の仕事ぶりが変わるような気がしませんか。

石油は今後も、僕たちの生活に必要不可欠なもの。
政府には「安定調達の視点も忘れないで」頂きたいものですね。
単なる「脱」を目指すのではなく、石油の「有効利用」を。


■会社概要■

[非上場]出光興産株式会社

・設立
 昭和15年3月30日(創業明治44年6月20日)

・資本金
 38,800,000,000億円

・従業員数
 4,882人

・事業内容
 石油製品・石油化学製品などの製造、販売

・ホームページURL
http://www.idemitsu.co.jp/index_f.html


■原文掲載(日本経済新聞より全文引用)■

・記事掲載日
[2005.05.12(木)] 

・表題
[「脱石油」使わないで]

・本文
▽…「脱石油という言葉はもう使わないで欲しい」。政府がこのほど閣議決定した温暖化防止の行動計画に不満の様子。「石油をないがしろにするような表現は原油国に悪い印象を与え、原油調達に支障が出かねない」と懸念する。

▽…石油の消費抑制に反対するわけではない。「効率的に、大切に使うと言えば、与える印象も違ってくる」。国の計画では二〇三〇年時点でもエネルギー源に占める石油の比率は四割を超す。「省エネも大事だが、安定調達の視点も忘れないで」と注文をつけていた。




executive_brain at 00:00│TrackBack(0)「回転いす」の経営者たち 

トラックバックURL